お風呂に肩まで浸かるべき理由

全身浴と半身浴

 

 

前項の風呂温度の使い分けのところでも、全身浴と半身浴という言葉が出ました。特に、静水圧の作用に関係するのはお湯の深さであり、肩まで浸かる「全身浴」ですが、体への負担が少ない「半身浴」とは、心肺機能と体内の血流に及ぼす影響が違ってきます。

 

全身浴をすれば、温熱、水圧、浮力の効果を最大限に活かすことができます。肩までしっかり深くお湯に浸かれば、入浴の気持ちよさをよく実感できます。ただし、血液循環が急激に良くなるわけですから、心臓に負担がかかる状態になり、お年寄り、高血圧の人などはやや控えめにすべきでしょう。

 

ちなみに血行促進には「ゆず湯」にするともっと効きます。ゆずは12月の冬至に合わせて入る季節湯の代表的存在でしょう。ゆず湯は血管拡張作用がある「ノルアドレナリン」を増加させるので、効果は医学的にも示されています。

 

元気な人は、ぜひとも肩までしっかり深くお湯に浸かって、いろいろな作用を享受してください。

 

ちなみに一方の「半身浴」は、心臓への負担が少ないのが特徴で、全身浴よりも長時間の入浴に向きます。体の芯までじっくり温めるなら、こちらでしょう。

 

「半身浴」なら、高齢者や心臓の持病がある人でも安心です。冷え性の人は「しょうが湯」にしましょう。しょうがはもともと食材としても体を温める効果があります。辛味成分と精油成分で血行を促進させれば、体の中からじんわり温められます。スパイシーな香りを楽しむこともできます。